崖の上のポニョ

ひさしぶりに映画館へ足を運んだ。(小3孫といっしょに)
館内ほとんどが親子、親子孫連れ。
長々としたCMや予告編が終わり、青地に白抜きのトトロの絵(ジブリのイメージ画像)がはじまると、それまでなんとなく落ち着きのなかった館内の空気が、ピッとひきしまる。
子どもの正直な反応がおもしろい。

えーっと、まだ公開直後だから、どこまで書いていいのか。。。。
海の女王と結婚したフジモトは、海底の研究施設のようなところで、海の浄化を試みている。
「人間は恐ろしいから近寄るな。人間が汚した海を、おれが回復させるのだ」
という信念を持つフジモトに育てられている人間と魚のハーフたち。
その中の一番お姉さんは、人間の世界を見たい、と施設から逃げ出す。
不思議な魚を拾った宗介は、ポニョと名づける。
「ポニョ、宗介、好き」
いったんは海底に連れ戻されたポニョは、宗介の元へ!
それを追う父・フジモト。
ポニョと宗介の運命は・・・
ふたりの愛の行方は・・・

要するに、「人魚姫」の子どもバージョンに、自然破壊とか自然と人間の共生とかいった、宮崎駿のテーマを乗っけたと思えばいいと思う。
なーんか、フジモトに託した「自然と人間の関係」というテーマや設定に突っ込みたくなるのだが。。。。
まあ、いいか。子どもたち、楽しんでいたから。
宮崎作品の特徴は、美しい空のシーン、躍動的な空撮だったが、今回、海のシーン、海が荒れるシーンなど、素敵だったし。

でも、子どもの反応って、正直でおもしろい。
フジモトが、ポニョが変身することで自然のバランスを壊してしまった、とか、バランスを取り戻せるかどうかは宗介とポニョの愛にかかっている、みたいな理屈っぽい(いやあ、これはそもそも無理な設定でしょ。バランスを壊した張本人は、アンタでは・・・)科白になると、とたんに集中力がとぎれていくのがわかる。
あれ?
わたし、ネタばれしちゃった?

宮崎監督は、自然と人間の関係をテーマにして、さまざまな作品を送り出してきたけど、やっぱ、初期作品に尽きるよね。
『となりのトトロ』
サツキとメイは、好奇心いっぱいに自然にふれていたから、不思議なことが起こった。
両親も、敬意をもって自然に接していたし、自分には見えない不思議なこともちゃんと受け入れていた。
環境破壊と再生を描いた『風の谷のナウシカ』も圧倒的な力強さで迫ってきた。
そのあと、『もののけ』あたりから、だんだん、軸がぶれてきたような気がするのは、わたしだけ?

正直な子どもの反応といえば。。。迎えに来たママに
「どうだった?おもしろかった?」と聞かれた小3孫。
的確にあらすじを語っていた。おお、わたしより掴んでいるじゃん(バババカ)
しかし、すっごくおもしろかった!!!! ポニョが、こうなって、ああなって、それでそれで!
みたいな熱い反応ではなかった気がする。
たぶん、宗介がポニョをかわいい!と思う気持ち、ポニョが宗介を追いかける(そのために水害まで起こる・・これって、まるで「八百屋お七」じゃ・・・)ひたむきな思い、みたいなものに、乗り切れなかったんじゃないだろうか。
五歳児に自分の将来や地球の運命まで決めさせるって・・・・・



ところで、ところで、近日上映予告で知ったんだけど
『パコと魔法の絵本』
これって、『ガマ王子VSザリガニ魔人』だよね。
わーい、映画化されたんだ。
ずっと前、あくびちゃん(だったよね? 水玉さんだっけ?)にお借りしたDVDですごく印象に残っている。
DVDで見たときは、正直、ちょっと長いかなと思ったけど、これをどう料理したんだろう。
大貫さんが役所弘司・・・いいなあ。はやくみたいなあ。
あくびちゃんや水玉さんに出会わなければ、こういう系統の演劇に出会うこともなかったと思うと感謝感謝。
ほかにも、いろんなジャンルの本や演劇や映画、その他の情報をありがとうね、みんな

まあ、いまさら『ポニョ』を見に行くというのも、孫のおかげなんだけど。

アフタースクール

監督  内田けんじ
木村  堺雅人
神野  大泉洋
北沢  佐々木蔵之介


内容は知らなくても、このメンバーを見ただけでそそられていたが、仕掛けがある映画らしい。
これは行かねば!

サラリーマン木村と身重の妻、そして、木村のアパートにしょっちゅう出入りしている神野は、中学時代の同級生。
木村がとつぜん連絡がとれなくなった。どうやら、オンナといっしょらしい。
陣痛のきた妻を病院へ送る神野。
裏社会の、そのまたすきまで生きる北村は、木村をさがしだすよう(あるスジから)依頼を受ける。
中学の同窓生をよそおって、神野に接近する北村。
果たして、木村失踪の謎は・・・・
オンナの正体は・・・・
平凡なサラリーマン木村には裏の顔があったのか・・・

ううう。ここまでなら、ネタばれにならないよね。
なんせ、仕掛けが・・・・
伏線が・・・・
ばらせない、というか、こうと見せかけて、実はこう。いや、その実・・・の連続で、とうてい一言二言ではストーリーも仕掛けも語れない。
すごーくうまくできたパズルのよう。

小ネタがよどよく効いて、あちこちでくすくすっと笑いがもれる。
その按配も、過剰すぎず、ほどよい。
お人よしな男だと思ってみていると、したたかな一面を見せたり、計算か?と思わせたり。
主役三人(えっと、正確には二人)が、それぞれが多面性をもち一筋縄ではいかないキャラ。
というか、それぞれが持っている、観客が抱いているイメージと役柄がうまーくシンクロしていて、これはもうキャスティングの妙味。

最後に、ピタピタピタと、ピースをはめ込むようにして全体の仕掛けがわかっていく。
こまかなところで、仕掛けを見破れていたときは、けっこう嬉しい。
(えっと、出だしのセピア色のシーン、とかね)
しかし、基本的なところでは、見事に、しかも心地よくだまされた。
いやあ、おもしろかった。
そして、いちおう?犯罪ミステリーなんだけど、残虐さがなく、なにより後味がいい。

日本でも、こういう洒落た映画ができるようになったんだね。



最高の人生の見つけ方

監督  ロブ・ライナー
エドワード  ジャック・ニコルソン
カーター   モーガン・フリーマン

自動車整備工として、つつましく暮らしてきたカーター。
妻と三人の子、孫にも恵まれ、まずまず、いい人生だった。
大企業のオーナーとして、地位も名誉も財力も手に入れたエドワード。
四回の結婚離婚を繰り返し、家庭生活には恵まれなかったとはいえ、反面、自由気まま、わがままいっぱいに暮らしてきた。
貧しい黒人とリッチな白人。
ふつうなら出会うはずのない二人が出あったのは病室。
二人とも癌で余命半年〜一年と宣告された。

という予告記事を読んで、え?そんな金持ちなら、当然、特別豪華な個室に入るでしょ。
という疑問は、エドワードがこの病院のオーナーであり、しかも、
「病院はリゾートホテルではない。二人同室。例外は一切ナシ」
という、エドワード自身がかかげた大方針だから。という設定。なるほど。

性格も背景も全く違う二人が、死を眼前にして、奇妙な友情と連帯で結ばれていく。
棺おけに入る前に、やりたかったことリストを書くカーター。(原題は「棺おけリスト」)
それは、信仰心厚く、謹厳実直なカーターらしく、「赤の他人に親切を」とか、「荘厳な景色を見たい」といった、くそマジメなもの。
そこへ、エドワードが書き加えたのは、「世界一の美女とキッス」「スカイダイビング」「ライオンハンティング」といった、破天荒なもの。
生きているうち、一つ残らずやってしまおう!と二人は強引に退院する。
まずはスカイダイビングからはじまり、アフリカ、エジプト、インド、フランス・・・と豪華旅行。
それが実現できるのは、ひとえにエドワードの財力と有能な秘書のおかげ(この秘書が、皮肉屋のエドワードをうまーくさばいて、実にイイ! うちにも欲しい!)
しかし、カーターが卑屈にならないのがいい。

エドワードの我侭も、どこか愛嬌と色気があって、ゆるしてしまう。
カーターのマジメさや薀蓄っぷりも、歴史学者になりたかったという夢がそうさせている。
二人の名優のキャライメージともぴったり合って、とてもいいハーモニーをかもし出している。
そして、長旅のあいだに、それぞれが抱える心残りな思いが見えてきて。。。。

ネタばれにならないよう、これ以上は控えるが、リストは、最後の最後まで実現できました。めでたしめでたし。
という、いわば、おじいのおとぎばなし。

いやあ。この二人の掛け合いを見るだけで、満足満足。
ごちそうさまでした。

大いなる陰謀

まず、言っておく。邦題がイケナイ。

監督・製作・教授 : ロバート・レッドフォード
上院議員 アーヴィング :  トム・クルーズ
TVジャーナリスト ロス : メリル・ストリープ
という重厚な顔ぶれ。

早朝、学生が、教授に呼び出される。
なぜ、君ほど優秀な学生が、学習意欲を失ったのか・・・
教授は、ふてくされた学生を説得する。
そういう無関心が、君が批判するオトナ・体制側をますます肥大化させている。
声をあげなくては。立ち上がらなくては、なにも変わらない。と。

午前10時。ベテランジャーナリストが、共和党上院議員の独占インタビューに呼び出される。
アフガンでの新しい作戦をリークしようとする議員に、ジャーナリストは、鋭い質問を浴びせる。
イラクでの過ちは、そして、ベトナム・・・での過ちからなにを学んだのか。
上層部のあやまった判断で、勇敢な兵士の命が失われていいのか。
(原題 Lions for Rams は、ドイツから見たイギリス軍をあらわした詩による)
次期リーダーの地位をうかがう議員は、彼なりの信念を持っている。
なぜ、マスコミは政府批判ばかりで真実を伝えてないのか。
9・11のあと、イラク侵攻をマスコミはこぞって賛成したではないか。
みなが問われている。テロに対して Yes なのか No なのか。

そのころすでに、アフガンでは、高地に精鋭部隊をヘリで運び前線基地を作るという作戦が実行されていた。
そこには、教授のゼミを受けた黒人とメキシコ人の教え子がいた。
二人は、いまの世の中を変えるために、ぼくたちにできることは?! を真剣に考えたうえで、志願兵となったのだ。
しかし、ヘリはアフガン非政府軍の攻撃を受け・・・・

議員×ジャーナリスト
教授×学生
二組の、真剣な、ある意味バーチャルではあるが、本質論ともいえるディベートに重ねるように、戦場の現実がかぶせられていく。

ラストシーン。
教授との話し合い後、なにかしら変化を感じつつある学生の表情。
目の前のTVは、あいかわらず、くだらない番組。
その下にテロップが流れる
「アフガニスタンに新たな作戦遂行。高地に精鋭部隊投入。作戦は成功・・・・」


うわあ。重いよ、むずかしいよ、厳しいよ。
どっちかが○で、どっちかが×とは言い切れない。

志願した学生が、黒人とメキシコ人というのも、つらい。
無事、帰還できれば、学籍復帰できる。しかも、授業料免除で。

ジャーナリストも、理想と現実のはざまにいる。
教授の人生も、若い頃の夢や理想どおりにはいってない。
士官学校を最優秀で卒業した議員は、情報部に配備されるため、実戦経験は皆無だ。

さあ、君ならどうする?!
と突きつけられたところで、唐突に映画は終わる。
見た人が一人ひとり考えなくてはならない。
という、ロバート・レッドフォードの思いが、ものすごく詰まった映画。


しかし、なあ、この学生・・・どう答えを出すだろう。
なんか、この子も志願しそうで、こわい。教授は、けして、そんなことを望んではいないのだが。

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